• カザルスの貴重なバッハ演奏
    パブロ・カザルスのバッハ、無伴奏チェロ組曲といえば、私にとって宝物の一枚。 カザルスは毎朝、儀式のように、一曲ずつこの曲を演奏することから、一日の生活を始めたという。生涯、数え切れないほどの回数、全曲演奏をしていたことになる。しかし、私たちが普通聴けるのは、ただ一種類の演奏。戦前、1936年から38年にかけてEMIに録音された、名高いSP復刻盤だけだ。 なぜなら、この頑固な共和主義のチェリ... 続きを読む
  • ブラームスリングシンフォニカ演奏会
    Aさんの誘いで出かけた。ブラームスだけという、地味なプログラムのコンサートだ。特に『アルト・ラブソディ』名指揮者、名歌手による数々の録音で知られる曲だが管弦楽、アルト独唱、男声合唱という珍しい編成のため、演奏会ではめったに取り上げられないようだ。でも、この日の曲目では最高の聴きものだった。ディスクではしばしば耳にしているものの、渋くてつかみどころのない音楽と感じていた。それが、実際に演奏に接してみ... 続きを読む
  • 展示会「日本の子どもの文学」③
    国立国会図書館・国際子ども図書館で開催中の企画「日本の子どもの文学」について、冊子(解説パネル)に従って検証を続ける。第3章。現代児童文学の出発点、1959年以降の文学史は、「ファンタジー」「リアリズム」の二観点ではまとめきれない多様性を持っているが本展示会では1980年の『ぼくらは海で』をひとつの展開点におこうとしている。これは、宮川健郎、石井直人各氏の論考を中心に問いかけられた提案だが、本作品... 続きを読む
  • エヴァ劇場版「破」テレビ版
    テレビ放送の録画で見ました。『新世紀エヴァンゲリオン』は旧テレビシリーズから見続けていますが、この映画版は完全リメイク版のようです。ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破文字が一部変わっているとおり、内容も登場人物も新設定が見られますが、基本的な世界観は変わっていないのではないか。完結してみないとそこは分かりませんが…絵の精度は、たしかに向上している。動きが一層緻密で、アクション場面の緻密さは特に凄いただ、... 続きを読む
  • 展示会「日本の子どもの文学」②
    国立国会図書館・国際子ども図書館で開催中の企画「日本の子どもの文学」について、冊子(解説パネル)に従って検証を続ける。第2章。戦後すぐの時期、多くの童話雑誌が一気に創刊された(「赤とんぼ」「子どもの広場」「銀河」など)ものの、子どもの本の活性化には至らず現代児童文学の始まりは、早稲田大学のサークル、早大少年文学会による『少年文学宣言』の時代、1950年代後半に持ち越されたとされる。しかし終戦から5... 続きを読む
  • ブロムシュテットのドヴォルザーク第8
    やっと見つけた。これこそ、指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットの魅力を最高に伝えるディスクだ。モーツァルト:交響曲第35番ニ長調K.385『ハフナー』 ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調Op.88ヘルベルト・ブロムシュテット指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団■録音時期:2005年11月3-5日(ライヴ)■録音場所:テルアビブ、マン・オーディトリアム■レーベル:ヘリコーン HEL029638http://www.hmv.co.jp/product/detai... 続きを読む
  • 大鹿村騒動記
    映画の話をもうひとつ。これは、「コクリコ坂」と違って、見るのにちょっと苦労した。いつものシネコンで見ようと思っていたら、いつのまにか終わっていて、なんとか駅前の上映館をみつけたものの、一日一回、夜の上映という悪条件での公開だったのだ。主演の原田芳夫は先月亡くなり、これが最後の映画となった。数年前の『父と暮らせば』の名演技が記憶に焼き付いていたので、アヤママともどもぜひ見ようと決めていたのだ。すごい... 続きを読む
  • 展示会「日本の子どもの文学」①
    「はじめに」さっそく疑問点にぶち当たる。この序言では、本格的な子どもの文学が生まれたのは『こがね丸』から、という受け止め方がされかねない。たしかにそれは以前定説とされていたことである。しかし、現在の児童文学研究は、『こがね丸』の前年の明治23年刊、三輪弘忠著『少年之玉』があったことを明らかにしている。これは子どもを読者対象とした、リアリズムの創作児童文学である。名古屋の出版社からのローカルな本であ... 続きを読む
  • コクリコ坂から
    夏休みに見に行った映画の話。まずは、恒例のスタジオジブリ作品。昨年の『借り暮らしのアリエッティ』が、児童文学の傑作を題材にして好感度の高い作品作りをしていたので、期待はしていた。心配は、『ゲド戦記』で疑問点の多い映画作りをしてしまった、宮崎吾朗が監督を務めること。しかし、再度挑戦する以上は、それだけの自信と覚悟はあるのだろう。ならば、先入観抜きでじっくりと見せてもらいましょう…そんなつもりで、出か... 続きを読む
  • 国際子ども図書館訪問
    7月26日。東京・上野にある国立国会図書館・国際子ども図書館に出かける。http://www.kodomo.go.jp/index.htmlこの図書館は、国立国会図書館から、児童書関係を独立させたもので、研究資料の保管・閲覧を目的としたもの。資料は基本的に閉架式で、中心となる文献は2階にあり、利用者はパソコンで目的の資料を検索して書庫から出してもらうことになる。貸し出しはなし。国会図書館本館と基本は同じである。   1階は子ども... 続きを読む
  • 過信の無残
    録画しておいたTV番組を見る。  2011年8月14日(日)放送ETV特集『アメリカから見た福島原発事故』(NHK教育)3.11東日本大震災の地震と津波によって炉心溶融の深刻な事故を起こした東京電力福島第一原発。この重大事故は海の向こう、アメリカで原子炉の設計、研究、規制に関わってきた技術者たちからも大きな注目を集めていた。1966年に着工された福島第一原発は、元々アメリカで設計された原子炉を導入した... 続きを読む
  • 朝比奈隆、初期録音をめぐって
    インターネットをはじめて間もなく出会い、その後も定期的に立ち寄っている音楽レビューのサイトがある。権威主義を否定し、有名無名、プロ・アマチュア分け隔てなく、自分の耳で音楽を判断していく、という簡単そうで難しい実践をされている方である。そのサイトで最近、朝比奈隆のブルックナーが続けて取り上げられた。当初、投書なかなか好意的な評でわが意を得たりと感じていたのだが、そのうち論調が変化。ついには >正... 続きを読む
  • ハンガリーからの煌めき
    先日の「Palm Leaf」の演奏会でお誘いを受けた室内楽のコンサートに出かけた。暑さを忘れるような、一夜になった。   一曲目は、大震災追悼の曲。シューベルトの『アヴェ・マリア』。   ヴァイオリンの松本さんは厚みと余裕のある音色で旋律線を決め、チェロの新井さんは、がっしりとした直線的な響きでアンサンブルを引き締める。そして近江さんのピアノは、麿実のある純白と言ったらいいのだろうか、細部ま... 続きを読む
  • 「録音」を観点にした名盤ガイド
    最近、「目からうろこ」という思いをした一冊。http://www.stereosound.co.jp/spi/backnumber/classics106/筆者の嶋護(しま・もり)氏は、音楽評論家というより音響評論家と言った方が当たっているのでは。版元の紹介文によれば古今東西のクラシック音楽「名録音」を語り尽くしたファン待望の究極的ガイドブック希少なオリジナルLP盤をオールカラーで多数掲載本書は、あらゆるジャンルの音楽/録音に精通した嶋護(しま・もり)氏... 続きを読む
  • ジャケ違い
    今回の東京めぐりではほとんどレコード関係まわれず、ネコパパとしては欲求不満。ただ一軒、中央線沿いの歴史ある中古店をほんの10分ばかりひやかす。 ここは、ネコパパが少年時代だった昭和30年代後半、名古屋の下町にも何軒かあった商店街のレコード店の風景を今に残す。ごく狭い店内にぎっしりと詰まったレコード。店長と話す年配のお客さんは、いかにも常連という感じ。アルフレッド・コルトー、ドリス・デイなどの話... 続きを読む

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR