• のだめ、完結
    クラシック音楽を題材にしたラブコメディとして、延々8年にわたって連載された作品。絵柄は実にシンプルで、泥臭さや癖が感じられず、多くの人に安心して受け入れられるだろう。そして、この種の音楽漫画では、ありがちな「ライバル同志の闘争」に流れないし、なおざりにされやすい楽器の描写や、音楽史、音楽作品の考証がていねいになされていることもいい。曲目の選択も凝っている。クラシックファンの私、ネコパパが、大喜びで... 続きを読む
  • 指揮者ベストランキング2009
    最近のレコ芸は、表紙が素晴らしいね。思わずジャケ買いだよ。今月号の特集は豪勢!従来は増刊号ムック『指揮者のすべて』でやられていた企画だ。それが何故通常号に?全体を斜め読みすればわかる。この雑誌のメインである、レコード批評のページが近頃激減し、特集ページで埋めるしかなくなったからだ。新譜の減少である。本誌対談で諸石幸生氏が思わず漏らしている。>ある意味で“レコード芸術”というものがなくなりつつあります... 続きを読む
  • 獣の奏者考④
    4 成長物語~エリンの“伝記”初めに余談。放送中のアニメ『獣の奏者エリン』、毎週楽しみに見ている。ストーリーもクライマックスに近く、緊迫の回が続いている。昨日放送の第45話は、イアルが真王の甥で、陰謀の根源であるダミアの罠にはまり、毒入りの飲料(ハラク)を飲まされる箇所だ。ここは原作にもある緊迫の場面である。このアニメ作品の良さは、原作通りの場面では、状況や台詞がほとんど変更なく、忠実に作られているこ... 続きを読む
  • ワルターの田園③迫真のフィラデルフィア盤
    ■ブルーノ・ワルター指揮フィラデルフィア管弦楽団■米コロムビア 現ソニークラシカル原盤■1946.1.10~12録音 フィラデルフィア、アカデミー・オブ・ミュージックにて■ユナイテッド・アーカイヴズ UAR019この録音は、あまり評価されてこなかった。今でも、たぶん。宇野功芳『ブルーノ・ワルター』でも、>本来のワルターの姿ではないと、評されている。発売状況も、その評判を反映しているようだ。CDも、本家ソニーからは、... 続きを読む
  • 『獣の奏者』考③
    3 ひらかれた世界観1,2巻の発売から三年後の2009年8月、続編2巻が刊行された。III 探求編  IV 完結編である。その物語を、ネタバレにならないよう気をつけて紹介する。第2巻の結末から11年後。教導師エリンは、大公の重臣ヨハルに護衛されてある闘蛇衆の村にやってくる。母ソヨンの死を招いた最強の闘蛇「牙」の大量死がまたも起き、エリンは、原因の調査を命じられたのだ。原因には、闘蛇の繁殖を制限し、過去の惨事の再... 続きを読む
  • 『獣の奏者』考②
    2 根拠はどこに?少年時代、私は怪獣マニアで、円谷プロ制作のテレビ番組『ウルトラQ』『ウルトラマン』、そして『ゴジラ』に始まる東宝特撮映画に夢中だった。 ところで、この『怪獣』が活躍するジャンルは何か。 まあSFの一種かな、と当時の私は思っていた。けれど、別の考え方もできる。海野弘『ファンタジー文学案内』(ポプラ社)からの孫引きだが、イギリスの児童文学者キャサリン・ブリッグスは、妖精物語(フェアリーテ... 続きを読む
  • 『獣の奏者』考①
    「決して人に馴れぬ孤高の獣と、それに向かって竪琴を奏でる少女」ということつのシーンから発想されたという『獣の奏者』は、「I 闘蛇編」「II 王獣編」「III 探求編」「IV 完結編」の全4巻の長編となって2009年の夏に完結した。「守り人シリーズ」に続く上橋菜穂子の大作である。舞台は「リョザ神王国」と呼ばれる異世界の王国。この国は「闘蛇」と呼ばれる巨大生物を乗りこなす「闘蛇衆」と呼ばれる軍勢によって外敵から防衛さ... 続きを読む
  • 広上淳一、名指揮!
    久しぶりの名フィル。指揮は広上淳一、すばらしい。感動的だったのは、メインに持ってきた『ペール・ギュント』組曲全曲。中学生のころから大好きな曲だ。小学校教員時代、五年生の学年劇をやるときに、組曲に含まれている『ソルヴェイグの歌』をテーマ曲にしたことがあるくらいである。でも、どちらかと言えば「レコード名曲」かな。劇の伴奏音楽を組曲に仕立てたもので、メロディー主体の、短い曲の集まり。曲想は第一曲『朝』の... 続きを読む
  • ワルターの田園② 不滅の第2楽章 
    ■指揮: ブルーノ・ワルター■ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団■録音1936.12.5 ■ウィーン、ムジークフェラインザール■CD OPUS蔵 2001/12/20発売  OPK 2021 EMI原盤京都、出町柳にある名曲喫茶の老舗、R堂に、赤地に金の麦穂をあしらったデザインのSPアルバムが鎮座している。かの有名なワルターの「田園」だ。これを上等の蓄音機で聴いたら、いったいどんな音がするのだろう?このSP録音、戦前世代の思い入れは相当なもの... 続きを読む
  • お金はこわい
    ペチューニアのたからもの■ロジャー・デュボアザン■乾 侑美子 訳■1998.9初版 原著1975■童話屋出版表紙は、お金の池に浮かんですましている、ガチョウのペチューニア。お金は、きらきら輝くシャワーのようにどんどん降ってくるのです。そういえば、「鉄腕アトム」にも、金貨のお風呂に入るのが大好きな悪人の出てくる話があった。「ロボット爆弾の巻」だったかな…ある日、池の底で「宝物の入った箱」らしきものを見つけた... 続きを読む
  • ボスコフスキーのシュトラウス・ボックス
    TV放送された、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の2008年来日公演を耳にした。ウィーン・フィルの来日。それは、かつては音楽ファンならずとも「事件」だった。しかし今では、あの頃のときめきは薄れ、放送を録画することさえ稀になった。ひさしぶり。指揮は、リッカルド・ムーティ。この人はいつまでたっても印象が変らない。若作り。弦主体の歌う演奏。でも、私にとっては、期待の人にはならない…プログラムは、ロッシーニ... 続きを読む
  • ねずみのとうさんアナトール
    ■イブ・タイタス 文 ■ポール・ガルドン 絵 ■晴海耕平 訳 ■童話館出版 1995年2月初版■定価1300円 パリの近くのねずみ村に妻と6人の可愛い子どもたちと暮らすとうさんねずみアナトールは、毎夕、仲間とともに自転車に乗って出勤。パリで、人間の家に入り込み食べ物を手に入れる仕事に精を出していました。ところがある日、アナトールは、自分たちが人間たちから嫌われていることを知ります。>「けいべつされ、... 続きを読む
  • 音を置く
    ベートーヴェン:「エグモント」序曲J.S.バッハ:二つのヴァイオリンのための協奏曲ブラームス:交響曲第4番■クルト・ザンデルリング指揮■ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、■インゴ・ジンホファー(Vn)、スレテン・クルスティク(Vn)■録音:1984年11月23日ヘルクレスザール・ステレオ・ライヴ■SSS0072-2 WEITBLICK(ドイツ)クルト・ザンデルリングの演奏はライヴに接したかった。来日も多く、ドレスデン・シュターツカペ... 続きを読む

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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