• Zoom読書会、今夜は『北極百貨店のコンシェルジュさん』
    北極百貨店の新米コンシェルジュ、秋乃さんの得意技は、笑顔と脚力。次々訪れる奇妙な動物のお客さんを前に、失敗と反省を繰り返すものの、その都度切り抜けて一人前のコンシェルジェに成長していきます。秋乃さんの満面の笑顔とバイタリティー、ちょっと変わった動物や人間(?)たちのキャラの立った描写も魅力的なファンタジー漫画の一冊です。作者の西村ツチカ、ネコパパは児童書の挿絵でよく見かけていました。シャープな描線と... 続きを読む
  • 子どもの本という「励まし」~ZOOMで出席します。
    日時:2023年5月27日(土曜日) 場所:共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス2号館7階707    最寄駅 神保町駅A8出口    アクセスURL https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/access/kanda/ ハイフレックス型(対面とズーム併用) ・プログラム概要 13:00 開会 13:10 研究発表(一人持ち時間35分)司会:瀧内陽(愛知県立大学) 13:10-13:45① 井上七海(共立女子大学文芸学部)The Water-Babiesにみる「汚れ」 13:55-14:30... 続きを読む
  • 新編集か検閲か-『チョコレート工場』俎上に。
    ヤフー・ニュースより引用。https://news.yahoo.co.jp/articles/4f9ea127624ef12149fbdfba7e2339c403d79d8b『チョコレート工場の秘密』ロアルド・ダール作品の新編集版に検閲と批判の声 2023.2/21(火) 10:45配信より引用Forbes JAPAN Getty Images 『Charlie and the Chocolate Factory(チョコレート工場の秘密)』『The Witches(魔女がいっぱい)』など、作家のロアルド・ダールの人気作品が、より包括的な表現に変更された... 続きを読む
  • 児童読物の軌跡―第3章『週刊小国民』及びその改題誌に見る原爆表現―を読む
    相川美恵子さんの『児童読物の軌跡』を、続けて読む。「第3章『週刊小国民』(朝日新聞社1941~1945)及びその改題誌に見る原爆表現」は、終戦後も廃刊せず刊行を続けたこの雑誌に掲載された原爆記事を追ったものである。本誌は、図解と写真による時局の解説を主とした子ども向けのグラフ誌。軍国主義、戦意高揚の国是に従って発刊されていたが、終戦後もしばらくは日本政府の検閲が機能していて、1946年10月にGHQの検閲下に移行した... 続きを読む
  • 「星野君の二塁打」をめぐって⑤教材は消えた!
    Ⓟ朝日新聞 2023.4.30小中学校で長年道徳資料、教材として使用されてきた『星野君の二塁打』。教員時代に道徳指導員としてかかわる機会があった作品なので、2年ほど前に個人的な考察を加えて記事にしていた。https://nekopapaan.fc2.net/blog-entry-2016.htmlそこでわかったことは、本資料が出典となった小説にかなり手をくわえて掲載されていたこと。特に大きな違いは高校生の話が中学生の話に置き換えられていたこと。そして、主... 続きを読む
  • 児童読物の軌跡―第2章『王の家』に描かれた満洲―を読む
    相原美恵子さんの『児童読物の軌跡』を、続けて読む。第2章『王の家』に描かれた満洲―旧植民地を描いた児童読物の可能性と限界、は1940年に刊行された平方久直童話集『王(ワン)の家』を題材に、旧満洲を描く児童読物にあらわれた子ども像を掘り下げた論文。平方久直は1928年に中国大陸に渡り、旅順で教員をつとめながら創作活動を行い、満州事変の起こった1937年ごろに内地に戻っている。1942年刊の長編童話『北京へ行く』は、日... 続きを読む
  • 茂田井武の『セロひきのゴーシュ』
    2023年3月21日に、大阪府立中央図書館で、シュレーゲル雨蛙さんとともに児童文学セミナーに参加したことは、既に報告しています。https://nekopapaan.fc2.net/blog-entry-2429.htmlその中で話の出た『セロひきのゴーシュ』、福音館版を入手してじっくり読んでみました。本書の挿絵は1956年、福音館の月刊絵本『こどものとも第2号(5月号)』のために描かれたものです。48歳で没した童画家、茂田井武の最後の作品になりました。セミナ... 続きを読む
  • 海外児童文学の現在-人種・民族・階級・階層・ジェンダーから考える―
    海外児童文学の現在-人種・民族・階級・階層・ジェンダーから考える―講師は白百合女子大学教授の水間千恵さん。はじめに象徴的なお話がありました。1954年創設の児童文学賞「ローラ・インガルス・ワイルダー賞」が2018年に「児童文学遺産賞」に名称変更されたことです。ワイルダーと言えば、日本でも知名度の高い『大草原の小さな家』シリーズの作者。今回の改称は、ワイルダーの人種に対する価値観が現代とそぐわないため、賞に... 続きを読む
  • 児童読物の軌跡-戦争と子どもをつないだ表現
    平成24(2012)年8月25日 龍谷叢書ⅠⅠⅩⅤ太平洋戦争中から戦後にかけて数多く出版された「児童読物」を考察する研究で、この時期のものは日本の児童文学研究ではなかなか取り上げられず、大変貴重だ。愛知県図書館でたまたま目に留まって借り出した。読み始めたら大変面白く、第1章を読み終えたところで「これは、借り読みではまずい」と思って、発注した。こういうところがネコパパはよくない。ネコパパ庵の書棚は、もうとっくに満杯... 続きを読む
  • 絵本の現在-普遍性と現代性を考える
    絵本の現在-普遍性と現代性を考える日本女子大教授の今田由香さんの講義です。ロングセラーとなった絵本は普遍的な内容を持っているけれど、現代の読者(主たる読者である子ども)にとっては古い内容や表現が含まれている場合がある。現代的な価値観で改定・改訳された絵本というのは、はたして同じ絵本なのか、違う本なのか、という問題提起から、絵本の普遍性とは何かを問い直そうという、児童文学という分野ならではの、難しい問... 続きを読む
  • 日本児童文学の現在―サステナブルに生きさせられる子ども
    日本児童文学の現在―サステナブルに生きさせられる子ども武蔵野大学 文学部 教授、藤本恵さんの講義。サステナブルがまず、わからないので検索すると「英語で『sustainable』と書き、直訳すると『持続可能な』『維持できる』という意味になります」という説明が出てきました。持続可能に生きさせられる?さて、それはどういうこと?そんな疑問を念頭に拝聴しました。講義は日本児童文学の「歴史」と「現在」の二部構成。まず「歴史... 続きを読む
  • 子どもの本の現在(いま)―何をいかに選ぶか 
    国立国会図書館・国際子ども図書館の開催した、令和4年度児童文学基礎講座をZoomで受講しました。何回かに分けて、覚書と感想を述べたいと思います。子どもの本の現在(いま)―何をいかに選ぶか 講師は、YouTubeでもおなじみ、IICRO(大阪国際児童文学振興財団 )の土居安子さん。公共図書館、学校図書館で児童書を選ぶために考慮すること、実際にどんな観点で、どんな本を選ぶのかについて具体的な書名を出しながら、おなじみの早口... 続きを読む
  • タヌキの土井くん
    福音館書店 2022.3.18さんかく山のふもとにある山下小学校。児童は十人、いや、九人と一ぴきです。そのわけは…始業式の朝、3年生になったばかりのアカネちゃんは、学校いちばんのりになろうと、早起きして学校に走りました。ところが、教室にはもう、きちんと前を向いてすわっている誰かがいました。アカネちゃんのとなりの、土井くんの席です。でも、よくみると…それはタヌキだったのです!「オハヨウ、サン、サン、オハヨウサン... 続きを読む
  • 日本児童文学と宮沢賢治の、複雑で魅惑的な関係。
    久しぶりの対面による講演会でした。そのせいか、会場には児童文学のイベントとしては珍しく、200人の人が集まり、華やいだ雰囲気。発表も対談も、肩の凝らない語りで、しかも内容はたっぷりとある…という具合で、充実していました。口承文芸の研究者であり、わがブロ友でもある、シュレーゲル雨蛙さんともお会いできたし、良い一日でした。そこで今回は内容の報告と感想です。最初は宮川健郎さんの基調報告。①宮沢賢治の児童文学... 続きを読む
  • かるいお姫さま
    少なくとも1862年には書かれていたイギリスのフアンタジー作家、ジョージ・マクドナルドの作品。モーリス・センダックが挿絵をえがいたこの版は1969年の出版とのことです。はじめて読みましたが、いやあ、面白い。「昔むかし…」ではじまり「…ということです」と、昔ばなしの枠組みを援用しているんですが、内容は、昔ばなしとは異質の「ぶっとんだ」現代感覚のストーリーなのです。語り始めは「いばら姫」よろしく、王女の洗礼式に... 続きを読む
  • 森忠明の新作『摘便クイーンのこと』。
    児童文学者の森忠明は、ネコパパが長らく注目し、愛読し続けてきた作家の一人です。けれども長い間新作が途絶えていて、手元にある一番新しい著作『タチカワ誰故草』が2007年の作。もう15年も前です。ネコパパの書棚には、氏の著作がずらりと並んでいるのですが…その後、新しい著作は出ているのでしょうか。そんな寡作の人が、思いがけず新作を発表されました。『日本児童文学』小峰書店 2023年1・2月号掲載。『摘便クイーン』雑... 続きを読む
  • 英語圏児童文学会西日本支部 春の研究会に参加します。
    「ガリヴァー旅行記」…ジョナサン・スウィフトによる、痛烈な社会風刺を散りばめた「大人の作品」が、なぜ児童向け読み物に?そういえば、子どもの頃の疑問、大人ばっかり出てくる、変な話!小人国、巨人国なんて、子ども騙し?なんてのがありました。ネコパパは子どものころからひねくれ者だったのだろうか?そして本作は現在でも子どもの心を惹きつけるものをもっているのか?「異化」にはいろいろな意味がありますが、ご発表で... 続きを読む
  • 「JBBY学びの会『あしたの本だな』をつくる」に、ZOOM参加しました。
    ★「子どもゆめ基金」助成活動 JBBY希望プロジェクト・学びの会 「生きづらさをかかえた子どもに 本との出会いを   ―ブックリスト『あしたの本だな』をつくる―」 日時 | 2023年2月22日(水)18:30-20:30 パネリスト さくまゆみこ(翻訳家/JBBY会長)  大塚敦子(作家・ジャーナリスト)  村中李衣(児童文学作家)  中島尚子(国立国会図書館)  清水由紀乃(学校図書館司書)  神保和子(家庭文庫/JBBY理事) ... 続きを読む
  • ムーミンパパの思い出
    講談社2019.6.25猫町読書会のムーミン全集を読むシリーズが最終回となり、寂しく思っていたら、2月に番外編で全集全体をテーマにした回が催されるとのこと。ネコパパ喜んで参加しました。まとめ役の方のお話では9回参加、今回が10回目ということです。えっ、そんなに参加していたとは意識していませんでした。定年後の隠居生活というのは、時間の感覚がないものなんですね。読書会に参加して何よりの収穫は、翻訳を徹底的に改定し... 続きを読む
  • ポーの一族、全員集合。
    小学館 2023.2.141970年代前半、ネコパパに少女漫画の愉しさを教えてくれたのは萩尾望都の作品だった。彼女の代表作『ポーの一族』は永遠の時を生きるバンパネラ(吸血鬼)の少年、エドガーとアランの二人が悠久の時を旅して多くの出来事に出会い、いわば「生きざる者」の目によって「生きうるもの」の存在理由を照射しようとする物語だ。普段は人間社会に隠れ棲み、正体が露見すれば、相手を殺すか塵と化すか、運よく生き延びたと... 続きを読む

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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